兄は早くて余命3ヶ月と言われた。
当時二十歳の兄は毎晩ラーメン屋のバイトに明け暮れていた。
ところが、調子が悪く病院に行ったらそのまま入院。
急性白血病だった。
中学生だった私はクリスチャンの学校に通っていて、 毎日礼拝をする習慣があった。
それまでは自分と宗教を繋げることができず、
強制的な学校のシステムに任せるままだったが、
そこから変わった。
別に毎日看病に行けるわけでもなく、
学校と部活に行きながらに私にできることは一体何なのか。
それは祈りだった。
祈ることしかできなかった。
自分のために祈ってはいけないと知りながら、
困った時だけ祈るなんて、
なんて薄情な人間なんだろうと思いながら、
それでも止められなかった必死さ。
祈りの内容はとにかく感謝した。
今日も兄が生きていること。
私も健康でいられること。
母が笑顔でいること。
ご飯3食食べられること。
学校に通えること。
部活が楽しいこと。
以来、毎日寝る前は感謝の祈り(どの神様にしているかは謎)をする習慣がもう20年以上続いている。
と言っても、寝落ちする前の10秒ぐらい。
お陰様で兄は回復し、再発もなく、今では元気に働いてる妻子持ちのサラリーマン。
何より。
今回読んだシェリル・サンドバーグの新作Option B そんな自分の心境を思い出させてくれた。
2児の母であり、
ハーバード大学を首席で卒業した現フェイスブックのCOO。
夫はサーベイモンキーのCEO。
誰が見ても成功している人に2015年悲劇が起こった。
夫の急死。
そこから彼女がどのような壁に(そう、ここからさらに)ぶち当たり、
少しずつ前進しているかを綴った本。
彼女の人間らしさに私はいつも惹かれる。
この本読んでいるといろんなこと考えさせられて、
恐ろしくなってしまうのだけど、それを意図している本ではない。
テーマとしてはレジリエンスについていろんな人の経験をもとに書かれている。
レジリエンスとは自発的治癒力。
回復力を意味する。
私が面白いと思ったのはそう言った深い悲しみやトラウマに陥った人と周りがどう接するのか。
どうして行けばいいのかわからず離れて行く人もいるということ。
人が触れようとしない「ゾウ」というのは存在しているということ。
パートナーが亡くなった時の男女間の再婚率の違い。
いろんな角度から考えさせられ、ヒントをもらった感じ。
トラウマがある人もいるだろう。
人生で辛い経験をした人もいるだろう。
コーチングをしていてもたくさんのその人のストーリーに出会う。
それでも私たちは生きていかねばならない。
この生きていく力について書かれた本。
オススメです。
彼女の前作のLEAN INもオススメです。